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ノーベル賞受賞者 真鍋淑郎さん

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言の葉

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「待てよ、オレはまだよく分かってないな」

中日新聞の1面に昨年のノーベル物理学者受賞者、真鍋淑郎さんの単独インタビューが掲載されていた。

真鍋さんは気候の「不思議」に導かれ60年間、地球温暖化の予測に関する先駆的な研究を切り開いた。

原動力は好奇心。

若い人は流行のテーマやかっこいいことだけを選ばず、

本質を探してほしい」

昨年十月の受賞決定時にも、好奇心の大切さを語った真鍋さん。大気中での割合が、わずかでしかない二酸化炭素の研究に

取り組んだのは「不思議だなと思う気持ちから」。

その二酸化炭素の濃度こそが、地球温暖化に関係しているのではないか?という仮説を「なんでなのか」と

突き詰めていくことで、気候モデルの構築という偉業につなげた。

青年期の挫折

真鍋さんの一族は医師が多く、その背中を追いかけたいと感じていた。

しかし「手はぶきっちょで、血を見ると頭が真っ白になるような性格。はじめは医者になろうと思っていたけど、

どうもだめだった」

そこで「理論学者とかがかっこいいと思ったけど、考えてみたら秀才ばかりが集まっているところで、僕の能力ではとてもじゃないけど競争には勝てない」と痛感したそうだ。

好奇心は天才に勝る

最終的に真鍋さんは地球物理学を選ぶ。

「天才の分野にひょろひょろ入っていったら、めちゃくちゃに努力しても大した研究にはならない」「誰もやっていないことをやり始めれば、普通の才能でもうまくいけば面白い研究が出来る。そういう打算もありました」と真鍋さんは笑う。

「好奇心に基づいて、得意な分野で戦え」

真鍋さんが若者らに送るメッセージの原点でもある。

自身がのめりこんだのは気象学。

当時は「当たらないものの代名詞」とまで言われた天気予報を、いかに科学に基づいた予測に変えるか。

研究を始めた。

やがて真鍋さんの論文に目を付けた米研究者の招きで渡米を決断。

1960年代、最先端のコンピューターに囲まれ、研究に没頭した。

そこで二酸化炭素濃度が温暖化に与える影響に取り組み、ノーベル賞につながる気候モデルの基礎を確立した。

真鍋さんは、1年余り前に出版した最新の研究書の執筆に、15年の歳月を費やしたという。タイトルは

「地球温暖化を超えて」。書き進めるたびにこう思ったそうだ。

「待てよ、オレはまだよく分かっていないな」

一度立ち止まり、頭を整理して書き直した。

ノーベル賞受賞という高みに立ってもなお、気候という研究テーマの前では謙虚であり続けているように映る。

真鍋さんはこう語る。

「僕は一生、気候変動を理解しようとしたい」

めちゃ、かっこよ。

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